M.M To Heart2


<キャラクター性に特化した前作の正当な続編>

 おそらくこのHPに来てこのコンテンツを見ている人は絶対知っているタイトルだと思います。いわゆる「学園物」の基礎を作ったタイトルとして知られている「To Heart」の正当な続編です。結果から言いますと、昔の流れをくみながらそれを上手く今の萌え事情に適応させた作品だと思いました。

 正直言って本当に「To Heart」の焼き直しです。マップ選択などのシステム構成も同じであり、そしてまさかのBGMも結構多く流用されていました。そういう意味で、過去に「To Heart」をプレイされている方で何か新しいものを求めるつもりの人は、わざわざやる必要はないかもしれません。特別これが素晴らしいと言える物はありませんでした。ですが、そこはさすが「2」の看板を背負っているだけの事はあります。とにかくこのゲームのテーマである「普通の学園生活におけるラブコメと萌え」という要素を実によく特化した作品だと思いました。

 まず素晴らしいと思った点として、原画家を複数起用したという事です。前作でも2人の原画家を起用して差別化を図っていましたが、今回は何と4人です。非常にバリエーションに富み、単調な萌えゲーにありがちなマンネリ化を見事打破してくれたと思っています。これは一般的なギャルゲーでは相当珍しいものであり、得てして同じ顔立ちになりやすいヒロインを区別する方法として実に効果的だと思います。次にキャラクター性の豊富さです。前作でも様々なキャラクターが登場してくれましたが。今作はある意味前作以上のキャラクターです。幼なじみ、先輩、委員長、不思議っ子、などといったもはや定番になりつつあるキャラクターが登場しますが、今作ではこれにもう一つアクセントを加える事で他のゲームには無い個性的なヒロインを演出しています。

 そして、その「ヒロインのキャラクター性」を豊富にする事こそこのゲームの評価が高いという事に繋がったのだと思います。シナリオの流れも多くは「主人公とヒロインの出会い」→「友情を深める」→「愛情に変わる」→「END」と実にスタンダードなものですが(もちろんそれ以外のものもあります)、流石にこれまで幾度となく登場したキャラクターだけでこの流れのみをされると、どう考えてもマンネリ化して飽きてしまうものです。それでも飽きずに最後までプレイ出来たのは、このキャラクター性の豊富さにあると思います。あとは、長時間プレイすることによる刷り込み効果も大きかったのかも知れませんね。突飛なキャラクター性でも長くつきあえば自然と慣れてしまうものです。そして、違和感が無くなり自然と許容出来るようになったのだと思います。

 本当、「Leaf」はこういったキャラ萌に関して理解があると思います。流石はギャルゲー界の第一線を走っているだけの事はあります。ただ、あくまでキャラクター性と萌えを考慮した場合実にすばらしいものがあると言っただけで、シナリオの素晴らしさや人生観などの観点について大きく期待するとそれはハズレかも知れません。とにかく前作以上の出来だと私は思っています。気晴らしに普通のギャルゲーでもやろうかと思っている人にはオススメです。


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以下はネタバレです。見たくない方は避難して下さい。








































<貴明の行動から学ぶべきもの>

 という訳、でこのゲームは正直ただのキャラ萌ゲーであるという気持ちは今でも変わるものではありません。事実多くのシナリオはヒロインと相思相愛になる事に比重が置かれていて、その為のイベントを多くこなす事がメインとなっています。ただ、そんな中で一貫して訴えてきたものがありました。それは主人公である「貴明」の心理と行動についてです。

 正直、私はこの貴明の行動を見てて胸が締め付けられるような衝動に襲われました。それは貴明の行動がヘタレだからではありません、ヘタレな貴明の行動に思い当たる点があり過ぎてまるで自分の事のように思えたからです。先に言いましたがこのゲームのシナリオはあくまでヒロインと相思相愛になる事が目的です。それが故に、ちょっと特殊なシナリオもありますが基本的に2人がどうやって心を通わせていくかという点について比重を置いています。そんな中での貴明の心理である「今のままでいつまでもいたい」は、2人の関係を一歩進める上での最大の足かせになる訳です。

 答えはシナリオの中で出ていました、いつまでもみんな同じように仲良くなんてあり得ない。そんな事を言っているのは貴明だけで他の人はそんな事これっぽっちも思ってません。本当は誰よりもヒロインと仲良くなりたいのに貴明の行動はそんな自分の気持ちに嘘をついているだけだ。ただのヘタレだ。最終的に貴明はそんな自分の気持ちに見切りをつけ、他のヒロインを置いて行ってでも2人の次のステップへと進んでいくわけです。

 そして、いつまでも昔のまま変わらなければいいというのは他ならぬ私の思いでもある訳です。これまで培ってきた人間関係と立場、それが変化したらどうしても戸惑ってしまいます。ですが、時間は常に同じ速度で未来へ進んでいますのでそんな事が可能なはずがありません。このゲームは、そんな私の気持ちにも克を入れてくれたような気がします。

 結局のところ、変わっていく中で変わらない物をどう見出していくか、これは人生の中での一つの課題なのかも知れません。このゲームではあくまで学園生活の中での恋愛というテーマでしたが、全ての事柄に当てはまるのではないかと思います。全てのシナリオで一貫していたこの貴明の心の変化と成長、これこそが今私がしなければいけない事なんでしょうね。


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