M.M 水夏 A.S+ Eternal Name


<そしてさらに展開される「水夏」の世界>

 「水夏 A.S+ Eternal Name」は、文字通り「水夏〜suika〜」の完全版として発売された「水夏 A.S+」をPS2に移植した物です。既に大本である「水夏 A.S+」で完全版として確立していますのでシナリオ追加など目立った変更点はありませんでしたが、それでも幾つか変わった点や気になる点が幾つかありました。

 まず、ボーカル曲がまた新たに全て一新されました。今回は全部で4つのボーカル曲がありまして、OPの「Fragment 〜Shooting star of the origin〜」とEDの「Fragment 〜Eternal Infinity〜」、そしてフィナーレ用の「夏がくれた贈り物」とグランドエンディング用の「未完成の物語」があります。まあ、この点に関しては相変わらずどれも「水夏〜suika〜」の雰囲気をそのまま残した曲で、耳障りという意味では十分満足いく物でした。特にOPの「Fragment 〜Shooting star of the origin〜」は最近売れている「茅原実里」が歌っている事もあり、良い宣伝になったのではないでしょうか。なお、この4曲を聞きたい場合は普通にボーカルアルバムとして発売されていますので、「水夏 A.S+」をプレイされていない方でも是非聞いていただきたいです。

 他に注目すべき追加点として、各章の頭に小さなムービーが追加されました。これはその章のあらすじ的な物を簡潔にまとめた物であり、今までの章の終わりと新しい章の始まりを明確に表す意味としての役割が大きかったのではないかと思います。ですが、個人的にこの演出は蛇足だったのではないかと思っています。水夏の特徴として、オムニバスでありながら同じ時間に同じ常盤村で生きる人々が何らかの相互関係を持っている雰囲気が大事だと思っています。そして、1章から3章まで終わって最後のまとめである4章へとシナリオが集約されていくシナリオと演出が深い感動を呼ぶと信じています。そんな水夏のどこか曖昧で温かい雰囲気が、このムービーを挿む事で各章がブツ切りになってしまい雰囲気レベルでの繋がりが無くなってしまったのではないかと思いました。確かに章ごとで仕切り直したい人には良い演出でしょう。ですが、正直この水夏に各章ごとの仕切り直しは不要です。そういう意味で、もう少し効果的な演出を考えるか始めから入れないかどちらかにすれば良かったのではないかと思っています。

 その他幾つか変更点がありましたが、それらは全て「水夏 A.S+」と変わり無いものでしたので特に取り上げるまでもありません。幾つかシナリオが削除された点もありましたが(そしてそのうち一つはシナリオの根幹に関わる大事なイベントだったりしますが)、全体の流れとして大きく影響するものでもありません。なので、とりあえずシナリオを楽しみたいと思っている方ならどちらをプレイしても構わないのではないかと思います。とりあえず元がとても素晴らしいシナリオの作品ですので、多少の変更点は全て無視される程度なのではないかと思っています。夏が来たら、いや夏でなかろうと是非プレイしてもらいたい作品です。

 クドいようですが、シナリオについての考察はこのサイトのメインコンテンツの一つである水夏〜suika〜インプレッションで行っておりますので、気が向いたら御覧になって下さい(ネタバレだらけです)。


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現在ネタバレのレビューはありません。見たい方も見たくない方も避難して下さい。

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