M.M 未来探偵ソラとピヨちゃん エピソードエッセンシャル
この「未来探偵ソラとピヨちゃん エピソードエッセンシャル」は前作である「未来探偵ソラとピヨちゃん エピソード01+02」及び「未来探偵ソラとピヨちゃん エピソードホーンテッド」の続編となっております。その為レビューには「未来探偵ソラとピヨちゃん エピソード01+02」及び「未来探偵ソラとピヨちゃん エピソードホーンテッド」を含めたネタバレが含まれていますので、ネタバレを避けたい方は避難して下さい。
・「未来探偵ソラとピヨちゃん エピソード01+02」のレビューはこちら
・「未来探偵ソラとピヨちゃん エピソードホーンテッド」のレビューはこちら
※このレビューにはネタバレしかありません。前作と本作の両方をプレイした方のみサポートしております。
以下はネタバレです。見たくない方は避難して下さい。
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＜時には騙されるというのも悪くはないですね＞
家電製品がネットを結び、社会インフラのネット化が進み、ケータイ電話の中に、心を持つコンシェルキャラが住む未来の日本で、単身東京に上京してきた15歳の少女ウグイスザワ・ソラとヤエガキエドワード探偵事務所の代表ケータイであるヤエガキ・スペイシー・ピヨちゃんが織り成すユルフワな短編作品である「未来探偵ソラとピヨちゃん」。今回のレビューである「エピソードエッセンシャル」をもってとりあえずの終了となりました。適当で嘘つきでいい加減な性格のピヨちゃんと素直で真面目で突進系な性格のソラの掛け合い、それももう終わりと思うととても寂しい気持ちになります。寂しいと思える程に私も2人の魅力に引き寄せられていたという事だと思います。
ピヨちゃんの隠している事については途中から色々と妄想を広げておりました。「エドワードは既に亡き者なのでは？」「ピヨちゃん本人がエドワードなのでは？」「実はピヨちゃんはソラの両親が残した形見なのでは？」とまあ突拍子もない妄想ではありましたが、一応正解する事が出来ました。そう考えますと、ソラもピヨちゃんも大切な人と巡り合いそして別れるという辛い経験をしていたのですね。この世界において人間もAIは同等の存在です。ピヨちゃんがもうエドワードがいない事に打ちひしがれてそこから立ち直ったという話を聞いて、それまでの適当で嘘つきでいい加減な性格が愛おしく思えてきました。探偵に対する誇りとエドワードに対するプライド、これはピヨちゃんが絶対に失うことはない本当の気持ちでした。
そしてソラもまた気がつけばピヨちゃんが心の中で掛け替えのない存在となっておりました。ピヨちゃんを探すためにソラは持ち前の突進力に加えてピヨちゃんの話術も真似をしました。そして廃棄されたと聞いてもあのピヨちゃんがそんな簡単に居なくなるはずがないと確信し、まるで引き寄せられるように再会することが出来ました。いつの間にかこの2人の間には強い絆が出来ておりました。お互いの事が分かっており信頼しているからこそ再会出来たのだと思います。私が凄いなと思ったのは、初めてであったベンチでソラが泣きはらすだけではなくその後涙を拭って強い気持ちで再会出来ると心を奮い立たせたところです。もうそれ程までの信頼関係が出来ているんだな〜思った瞬間、きっとそれが同時に再会の瞬間だったんですね。
でもですね、ここまで書いておいて私は一方でこんな事も考えてしまいました。最終エピソードはソラとピヨちゃんが感動的な再会を果たし「二人で一緒に生きていこう」というセリフで幕を下ろしました。これまでの捻りを加えたエピソードにはないストレートなテキストに多くの方の心が洗われたと思います。ですが、果たしてこれは本当のエンディングなのでしょうか？私は実はエンディングの後に、
「ま、探偵をしたいっていうのは嘘なんだけどね！」
「あの時は何となくそういう雰囲気だったんだから話を合わせただけだよ！」
「ワハハハハハハハハハハハハ！」
なんて言いそうだな〜なんて思ってしまいました。実はピヨちゃんが芝生に落ちていたのはたまたまでヘンリーから逃げた訳ではない、気がつけば何故かソラが嬉し泣きしているし適当な事を言ったら怒るからとりあえず感動的にまとめておこう、なんて思っているピヨちゃんがいるのかも知れません。…スミマセン、感動が台無しですね。
でも私は仮にそんなエンディングだったとしても良いと思っております。ここまでプレイした方であれば「感動がぶち壊しだ！台無しだ！」なんて誰も思わないと思います。何故ならそれはピヨちゃんだからです。ピヨちゃんは適当で嘘つきでいい加減なんです。どんな事が起きても不思議ではないんです。逆に言えば騙されていいのはピヨちゃんだけです。ピヨちゃんのあの性格だから騙されても許されるんです。そしてきっとそんなピヨちゃんを見てもソラはちょっと怒るだけできっと許すんです。その素直さと優しさもまたソラの魅力だと思っております。いずれにしてもこの2人はこれからも良きパートナーとして探偵を続けていくのだろうと思います。時には騙されてもいい、そんな事をこっそりと思った作品でした。ありがとうございました。