M.M 未来探偵ソラとピヨちゃん エピソード01+02


<作品全体に漂うデジタル感を感じながら表面をサラッとなぞる様に気軽にプレイして頂きたいですね>

 この「未来探偵ソラとピヨちゃん エピソード01+02」という作品は同人サークルである「フワフワソ」で制作されたビジュアルノベルです。私が「フワフワソ」さんの作品に初めて触れたのはCOMITIA108でノベルゲーム部のサークルを回っているときでして、デフォルメされたヒロインとサイバーなフォントのタイトルの雰囲気が大変独特で印象に残っておりました。COMITIA108の時は本作の他に2本ありましたのであわせて購入しました。全部で3本の作品をプレイする事で「未来探偵ソラとピヨちゃん」の物語は完結するようです。感想ですが、ハウスなBGMとデフォルメなキャラクターや背景によるデジタル感が否応無しにも近未来を演出してました。

 公式HPをご覧になれば分かりますが、舞台は家電製品がネットを結び、社会インフラのネット化が進み、ケータイ電話の中に、心を持つコンシェルキャラが住む未来の日本です。主人公であるウグイスザワ・ソラは15歳の少女で、とある事情で故郷である北海道から単身東京に上京してきます。ソラの夢はおしゃれな雑貨屋さんになること、その為にアルバイト求人情報を見て仕事先を探すのですがそんな中でケータイ電話であるヤエガキ・スペイシー・ピヨちゃんと出会います。ピヨちゃんは探偵事務所の代表ケータイであり、必死にソラを勧誘しようとしますがそれには裏の事情があるようです。ともあれソラはなし崩し的にピヨちゃんの所属するヤエガキエドワード探偵事務所の探偵助手のアルバイトを始める事になりました。

 この作品の魅力は何と言っても作品全体に漂うデジタル感ですね。キャラクターの立ち絵は全てデフォルメされており如何にもデータで作った印象を与えてくれます。背景も絵本のようなポップなグラフィックでありながらそこらじゅうに文字が流れている様子が近未来的です。そしてBGMがハウスを基本とした曲調でこれも近未来の雰囲気にピッタリです。これまでも近未来を題材にした作品はいくつかプレイしてきましたが、ここまで潔くデジタル感を演出した作品はありませんでした。腰を据えて世界観を味わうというよりも、表面上をサラッとなぞる感覚で気軽にプレイするのがちょうど良いかも知れません。

 そして今回プレイしたエピソード01+02には計4話のシナリオが収録されております。それぞれのシナリオの長さは約30分程度で読み終わる事が出来、短い時間でまとまった物語を読むことが出来ます。上でも絵本のようなポップなグラフィックと書きましたが、作品全体が絵本のようにサラッとしていて短めにまとめられております。ちょっとした気分転換のつもりて1話ずつ読んで頂けるのが一番良い楽しみ方だと思いました。ちなみに収録されているのは1話、2話、3話と飛んで7話です。4話以降は他のエピソードに収録されている様ですので、私は7話以外の3つのシナリオを読んで今回の感想を書いております。

 ちなみに作品全体に漂うデジタル感に合わせているのか、ソラもピヨちゃんも結構思い切りがよく突進系な性格をしております。トントンと場面が転換していきますのでプレイヤーにとってもストレスなく読む事ができると思います。それでもソラとピヨちゃんそれぞれに思うところはあるみたいで、その辺りの設定も今後明らかになっていくという事で大変楽しみです。サクサク読めるシナリオですので早速次回作の方に進もうと思います。オススメです。


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以下はネタバレです。見たくない方は避難して下さい。








































<デジタル感が溢れておりながら「人を信じる心」を大切にしたシナリオばかりでした>

 サクサク読むことが出来ました。それもこれもソラとピヨちゃんの思い切りの良い性格のおかげだと思っております。というよりもソラはかなり突進系な性格でしたので若干ヒヤヒヤするところもありましたね。打って変わってピヨちゃんは適当で嘘つきでいい加減でとんでもない主人公でした。それでも何故か憎めないのは、この2人の相性が良かったからなのかなと思っております。

 この作品はデジタル感が溢れておりますが作中の所々で「人を信じる心」というフレーズが多く出ている事に気がつきました。ソラは突進系で危うい正確ですが純粋に物事を信じる心を持っておりました。まあ結果としてそれを漬け込まれて探偵助手をやる事になったのですが、そんな「信じる心を持った若い人」をピヨちゃんが求めていた事にもなにか理由があるのかも知れません。キヤマ・ウイリアム警部補も今回の捜査に人生を掛けておりました。その心意気を信じたからこそ犯人の逮捕に繋がったのかも知れません。というよりもこれに関してはソラの突進系な性格と運の良さが本質的な成功理由かも知れませんが。神社の息子も最終的にはお父さんとお母さんの大切さを感じる事が出来ました。家族を信じる事は人間関係の基礎になると思います。そんなちょっとした子供の純粋な想いを感じることができたシナリオでした。

 それにしても上でも書きましたが本当にピヨちゃんのあの適当で嘘つきでいい加減な性格は何なのでしょうね。リスクを冒して大掛かりな設定を用意してまでソラを探偵助手にしたかったのには必ず理由があると思います。何よりもヤエガキエドワードとはどのような人物なのでしょうか。有名な探偵と語ってましたが、彼が現在海外出張に出ているのが本当であればその時ぐらい休業でも構わないのではないでしょうか。それを15歳の探偵助手とケータイの2人で依頼を受けているのです。危ないことこの上ありません。その辺りの矛盾した行動についてもこれから注意して読んでいこうと思います。

 あとはソラの気持ちですね。突進系ではありますが人一倍思いやりの心に溢れてますので今回探偵助手をやる事になりましたが、彼女が本当に求めるものはなんなのでしょうか。作中では「広い世界を見てみたい、自立したい、自分の人生は自分で決める」と言ってました。それでも思うようにアルバイトは決まらず探偵助手も自分で決めたとは言い難いと思います。果たして彼女が見つける広い世界は何でしょうか。探偵助手を行うことでどんな世界が見えるのでしょうか。そんな心理描写にもこれから注目してみようと思います。まだ3話です。全部で9話構成の様ですので、早速次のエピソードに進もうと思います。


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