M.M しろのあしあと〜第二章〜


 この「しろのあしあと〜第二章〜」は前作である「しろのあしあと〜第一章〜」の続編となっております。その為レビューには「しろのあしあと〜第一章〜」を含めたネタバレが含まれていますので、「しろのあしあと〜第一章〜」のネタバレを避けたい方は避難して下さい。「しろのあしあと〜第一章〜」のレビューはこちらからどうぞ。

※このレビューにはネタバレしかありません。前作と本作の両方をプレイした方のみサポートしております。


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以下はネタバレです。見たくない方は避難して下さい。





















































































<さらに変化する非日常に慣れていく主人公と他の登場人物の心情について知る事が出来ました。>

 就職活動に悩みながらも一歩前に進めない主人公、そんな主人公の前に突如現れたハクビシンとの共同生活という非日常へ足を踏み入れた物語です。ゼミとバイトをこなす趣味が料理という至って平凡な主人公ですが、その実はハクビシンが人間になっても特に物怖じせず普通に共同生活を送れる大らかさの持ち主でした。裏を返せば1人暮らしが寂しい事の表れでありたとえ人間でなくでも構わないから誰かと一緒に居たいという事なのかも知れませんが、既に非日常の世界に足を踏み入れている訳ですので今さら普通の生活に戻れる訳ではありませんね。第二章はそんな主人公とハクが肝試しに行ったゼミの後輩を助ける為に廃病院へ足を踏み入れるところから始まります。

 正直なところ、この物語での非日常成分はハクの存在だけだと思ってました。それ以外の要素は全て現実的なものばかりであり、ハクとの出会いが主人公の気持ちを変化させていく物語だと思ってました。それがまさか廃病院の先に異世界が待ち受けているとは誰が予想できたでしょうか。そしてその異世界には後輩の体を乗っ取ろうとする敵との戦いと新たな出会いが待ってました。廃病院に潜入してから脱出するまで終始目が離せない展開でした。ここで注目するべきはやはり主人公の現状を打開しようとする姿勢だと思います。前のエピソードで「学習性無力感」という事について語られていましたが、努力しても現状が変わらないと思いこんだらそれが最後であり絶望的な状況でも何とかしようと精一杯頑張ろうとする事が活路を見出すことに繋がると思います。今回後輩を救いだし幽霊であるレイを連れ戻せたのは間違いなく主人公の諦めなかった結果だと思いました。

 そして再び取り戻したこれまでの生活ですが、ハクとの生活に新たにレイが加わりました。アマネが言ってましたがハクビシンと幽霊との同棲なんてどう考えても普通ではありませんね。既に主人公もこの非日常に慣れつつありますね。もはや主人公にとって同居人が人間であるかどうかなんて大して気にならなくなっているのでしょうね。むしろレイはハクよりも手間が掛からないので気が楽だ程度にしか思ってなさそうです。これも慣れなんだなと思いました。ですが実はこれは主人公が元来持っていた性格と大らかさの表れであって、まだ主人公自身が自分を変えるために一歩前に進んだ訳ではありません。就職活動は未だに進んでおりませんし、後輩であるまどかとの関係も修復されておりません。何よりも主人公がどこか煮え切らない気持ちを持っている点が何よりの証拠ですね。今回同居人が増えた事でその当たりの心境にも変化が現れれば良いですね。

 そして今作では主人公以外のキャラクターについても色々と書かれておりました。メインになるのはやはり後輩の2人でして、加えてバイト先のマスターの娘である小真季ですね。後輩についてはまどかについては大人しくて引っ込みがちな性格のキャラクターとしての印象でしたが、友人といる時は普通に笑える性格でした。というよりも友人である早見との絡みが見ていて微笑ましいですね。こういったキャラクターの違った一面が見られるというのは変化点であり印象に残ります。後は小真季の寂しそうな内心を垣間見る事が出来ました。ハクビシンとの出会いで偶然見る事が出来ましたが、ただ気張っているだけの高校生ではなく普通に弱さも持っている事が分かってホッとしました。この辺りのエピソードもこれから増えそうです。

 そして物語はまさかのアフリカ編へと進んでいきます。第一章の終わりのような幕引きはもうないだろうと思ってましたが、まさかあの時以上のピンチになるとは思いませんでした。今度は現実の世界でたった1人で状況を解決しなければいけませんからね。ある意味廃病院の時よりも厳しいシチュエーションです。ここでの出来事が主人公の変化に繋がると嬉しいですね。あと素朴な疑問なのですが、主人公ってこんな時でも律儀に日記をつけているんですね。実はこれが壮大な伏線だったらもうこの作品のシナリオライターに天晴れですね。とまあそんな事を思った第二章でした。早く第三章以降が読みたいですね。楽しみにしましょう。


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