M.M ミスティックロンドン〜願いはプロテウスに届く〜


<前作より進化したマウスオペレーションシステムで大英帝国を駆け回りましょう>

 この「ミスティックロンドン〜願いはプロテウスに届く〜(以下プロテウス)」という作品は同人サークルである「サークルリンネ」で制作されたサウンドノベルです。前作である「ミスティックロンドン〜新米探偵のまいにち〜(以下新米)」が思いの外面白かったので、続編を入手出来たら是非プレイしようと狙ってました。機会がやってきたのはCOMITIA103の時でして、サウンドトラックも発売しておりましたので同時に買っていました。前作に引き続き可愛らしいパッケージと「マウスオペレーションシステム」は健在であり、やはりコミカルな世界観で描かれる良質の謎解きゲーであったと思いました。

 「マウスオペレーションシステム」については新米の方でも書いておりますが、簡単に言えば自分で移動先を決めたり自分で行う行動をその都度決めてゲームを進めていきます。そして話をしていく中で注目するべきポイントになると「Focus!!」と「Ignore」というコマンドが出て、これの選択1つで物語が進むかゲームオーバーになるかが決まってしまいます。途中セーブが出来ず途中で自動セーブするシステムですのである程度気合いを入れないと全然シナリオが進まないという事もあり得るかも知れません。まあ謎解きゲーですのでプレイされる方はある程度意気込みを持っていると思いますし、何よりもよく人の話を聞いてシナリオを吟味すれば一回もミスすることなくエンディングまで行くことも可能だと思います。

 そしてプロテウスでは新米にはない新たな要素が加わっております。それが「推理する」というコマンドです。新米では場所移動と人との会話と周辺調査のみで物語が進みましたが、この「推理する」という項目の追加で行動の選択肢が増えた事になります。全ての箇所を回っても全ての人と会話しても一向に進む気配がないと思ったらこの「推理する」を選択すると道が開けるかも知れません。ちなみに中身的には主人公の独白の中で「Focus!!」と「Ignore」が出てきてやはり選択を誤るとゲームオーバーになってしまいます。何が言いたいのかと言いますと、新米よりもマウスオペレーションシステムが進化しているという事です。

 シナリオ的には私で3時間程度で終わる分量でした。新米と同じ程度でして、時間のない方でもさくっとおやつを食べる感覚でプレイする事が出来ると思います。そして時系列的には新米の後になっております。そういう意味で新米で登場したキャラクターについては既に顔馴染みの関係になっておりますので、プロテウスをプレイされる前に新米をプレイしておきますと登場人物の性格などが把握しやすいと思います。相変わらずの可愛らしいキャラクターばかりでして、大英帝国を駆け回りながら事件を解決しようという主人公の行動はつい応援してしまいたくなると思いますね。

 新米でも思いましたが、このゲームはとにかくマウスオペレーションシステムを駆使して出来るだけ街を歩き回り多くの人と会話した方が楽しめると思います。謎解きゲーですので早く物語の真実を掴むために最速でプレイしたくなると思いますが、適当に寄り道して時には関係ない人物との会話を楽しみながら進めるというのも味があって良いかも知れません。あくまで「Focus!!」と「Ignore」の質問を間違えなければゲームオーバーになりませんし、より沢山街を歩き回り人と会話した方が経験値も多く貰えレベルも上がりますからね。

 という訳で短いながらも良くまとまっていて楽しむ事が出来ました。新米をプレイされて気に入った方であれば是非こちらもプレイして欲しいと思いました。昨今では珍しい「マウスオペレーションシステム」を堪能しつつ、是非大英帝国を駆け回って事件を解決に導いてやってください。


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以下はネタバレです。見たくない方は避難して下さい。








































<成長したミスティアの凛とした態度が事件の解決に繋がったんですね>

 相変わらず楽しかったです。新米で登場した人物はそのままの性格で、今回の事件で新たに登場したキャラクターもそれぞれ味がありました。とにかく新米から成長したミスティアは実に頼もしかったですね。リセ警部や貴族に強くものをいう姿は本当に成長したんだな〜としみじみ実感する事が出来ました。

 新米を経た事でミスティアにもそれなりの信頼が寄せられているようでした。あのお堅いリセ警部もミスティアだからといって軽視することは無く、口は相変わらずでしたけどちゃんと1人の探偵として見ていました。そしてそのリセ警部やセレーネの期待通りの活躍を見せ、もうすっかり1人前の探偵になったんだなと感じました。今回はセレーネも新大陸へ出港する船を調べただけで後は何もしなかったのかも知れませんね。本当にミスティア1人で大英帝国を歩き回り、時には警察やその他登場人物と協力して事件の解決へと進んでいきました。

 何よりも驚いたのは植物研究所の管理人に対して「あなたの発言に何も信憑性が無い!」と言い切りニールの釈放をリセ警部に強くお願いしたところでした。以前のミスティアでしたら間違いなくここまでの強気な発言は出来なかったであろうと思います。しかもただ強気なのではなく、ちゃんと状況証拠を調べて人と会話して自分の中で結論付けた事でした。この凛とした態度は素直に嬉しく思いますね。新米で顔なじみになったリセ警部やアルフレッド警察官にならお互いに知った中ですので強気に物を言えるのかも知れませんけど、今回の事件で出会った初対面の、しかも結構失礼な発言をする人物に対してこれだけ強くものを言えるのは間違いなくミスティアの成長の証です。

 そして今回の事件でやはり1番のキーパーソンは新米でも登場したベーグルだと思いました。あの底抜けに明るいキャラクターの印象しか無いベーグルですがこんな重い過去を持っていたとは知りませんでした。そしてそんな重い過去を持っていながら今の自分の立場をわきまえ、取り乱すことなく立ち振る舞っている姿には素直にカッコいいと思いました。孤児院にいた事、実の姉がいる事、その姉とは身分も何もかも違ってしまった事、普通の女の子であれば弱音の1つでも言いたくなるところだと思いますが、そんな事はありませんでしたからね。プロテウスの登場人物で一番のお気に入りかも知れません。

 あと良かったのは全てクリアしてからのいつもの街を歩き回るモードで、オッカル家の庭にプロテアの花が咲いていた事ですね。さりげない一文ですがこれだけで全ての登場人物の苦労が報われた気になりました。きっとプレイヤーの知らないところでこのプロテアの花はイザベラへ届けられたのでしょうね。という訳で新米に引き続き爽やかな気持ちにさせてくれるシナリオでした。これからもミスティアは大英帝国の安定の為に走り続けるのだと思います。ありがとうございました。


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