M.M 3M -Marionettes manipulate the marionette- #define


<まあ、パッケージをみて無理だと思った人は素直に回れ右するべきですね>

 この「3M -Marionettes manipulate the marionette- #define」は同人サークルである「はいぺりよん」で制作されたビジュアルノベルです。はいぺりよんさんの作品では過去に「Arpeggio 神奈ルート」や「東京都繰子の事件簿〜File:02淫獣〜」をプレイした事があり、シナリオとHシーンの両方で読み応えのある印象を持っております。ですが今回プレイした「3M -Marionettes manipulate the marionette- #define」ですが、もうパッケージから普通でありませんでした。これだけ強烈な第一印象を与えておいてこの作品は何を言いたいのだろう?果たしてシナリオとHシーンが両立した内容なのだろう?そんな一抹の不安を抱えながらプレイを開始しました。

 パッケージにも書いておりますが、この作品は「亡きゲー」だそうです。まあそれは一目で分かりますね。何しろパッケージの表には首から下がない女の子と右半身のない女の子が顔を接合されて繋がってる絵が書かれているのですから。間違いなく普通ではありません。こんなパッケージ、商業ゲームで見たことがありません。まさに同人ゲームだからこそ出す事ができたパッケージだと思いますね。そして裏を見れば、表と同様手足をもがれたCG、炎に焼かれているCG、目がくり抜かれているCGが並んでおります。断言します。この時点でヤバイと思ったあなたは回れ右するべきです。

 ではこの作品は、そんな風に女の子がグロい姿で殺される様子を描くために作られたのでしょうか。実際のところそうなのだと思います。ですがプレイし終えて、やはりそれだけではない魅力はありました。上でも書きましたがはいぺりよんさんの作品はシナリオとHシーンの両方を楽しめるのが特徴です。今作の場合Hシーンはそのままグロと読み替えてもらって構いません。何が言いたいのかといいますと、この作品は唯女の子が殺されるだけの作品ではなくしっかりとしたシナリオも書かれているという事です。

 この作品のジャンルは「18禁美少女絶体絶命阿鼻叫喚学園ラブコメサイコホラーAVG」だそうです。まあ読んだままの内容ですが、注目するべきはラブコメサイコホラーです。この作品はラブコメなのです。主人公は普通の学生であり、ヒロインも普通の学生です。そんな2人の出会いから物語が始まり、紆余曲折を経て関係を深めていきます。そんな2人が何故パッケージのようになるのか、その理由はサイコにあります。この作品はサイコでもあります。つまりどこかにサイコパスな人物がいて、そいつのせいで2人はパッケージのようになってしまうのです。ではその人物は本当にサイコパスなのでしょうか?これについては是非プレイヤー1人1人が考えて欲しいですね。一つ言えることは、この作品は唯のグロいCG集ではないということです。

 プレイ時間は私で4時間30分かかりました。この作品ですが、ダブルヒロインとなっております。そしてプレイ開始時にどちらのヒロインの物語をプレイするか選べるようになっております。それぞれのヒロインで2時間強のプレイ時間ですね。そういう意味で、長時間ではなく3時間程度の余裕があれば区切りのいいところまで読み進めることが出来ます。そしてこの作品はまだ前編です。全てのテキストを読んでも物語の真実は明らかになりません。何故彼女たちは不幸な目に遭わなければいけなかったのか。その答えがきっと後編で開示されることを祈りますね。むしろそうでなければ余りにも酷い仕打ちですからね。是非じっくりとテキストを読んでいただき物語の真実を想像して欲しいですね。


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以下はネタバレです。見たくない方は避難して下さい。








































<振り返ってみればグロさに驚かされ純愛の書き方に驚かされ、そして科学的な謎に驚かされた時間でした。>

 果たして美梨雨編と舞夏編は全くの別物なのでしょうか。久慈真太、市川進夢、軍服の男など共通の人物が登場しますが、時間軸も違いますし立場も違います。特に久慈真太については美梨雨編で一旦手足をもがれているのに、そのあとの時間軸で普通に舞夏と会っています。普通に考えれば別物なのでしょうけど、どうもそうではない雰囲気が漂っておりますね。

 私が終始気になっているセリフに「システムエラー」があります。市川進夢が美梨雨に言ったセリフです。人間に対してシステムと呼ぶなんて普通ありません。ですが市川進夢がそんな無駄なセリフを吐くとも思えまえん。この時私は思いました。もしかしたら美梨雨は既に死んでいて美梨雨編開始時の美梨雨はサイボーグか何かなのではないかと。よくよく考えれば冒頭で美梨雨は軍服の男に殺されております。それでもなに食わぬ顔で再び登場し、当たり前の学園生活を送っておりました。始めは夢かとも思いましたが、間違いなくそんな簡単な話ではありませんね。

 舞夏編でも一番不思議に思ったのが、殺されたはずの奥村哲史が復活して人殺しを行っていた事です。これは市川進夢の狂言でしょうか。きっと違いますね。本当に何らかの理由で奥村哲史は復活し、軍服を着て殺人を行っているのだと思います。ではどうして奥村哲史は復活したのでしょうか。それこそこの作品の一番の肝な気がします。プロローグで、本編とは場所も時代も関係なさそうな世界でナノマシンを操る武装集団とそれに抵抗する男の様子が描かれておりました。これもどこかで本編に繋がるはずです。共通点は科学技術です。何か超常的な技術で死んだ人間は復活したのだと思います。それが美梨雨であり奥村哲史だと思います。これについては後半を待とうと思います。

 それにしても、美梨雨編と舞夏編で描かれた恋愛模様は全くの真逆でしたね。美梨雨編は純愛かと思えば寝取られでしたからね。「たった数回のキスで真太との十数年が上書きされた」とか「女の子はHの時は誰でも愛することが出来る」とか、もう典型的なマジカルちんぽの世界ですね。割と良い話で終わるかと思えば予想の斜め上の絶望でした。個人的にはグロさよりもずっとこっちの方が堪えましたね。ですがそれとは対照的に舞夏編は完全なる純愛でした。それもかなり歪んだ純愛でした。愛する人の体って、食べることが出来るんですね。それが真実の愛なんですね。最後の最後、死んでしまった舞夏を食べることで真太は真実の愛を手に入れたのだと思います。こちらは美しさすら感じました。まさにグロでしか描けない純愛ですね。

 振り返ってみればグロさに驚かされ純愛の書き方に驚かされ、そして科学的な謎に驚かされた4時間30分でした。相変わらず様々な要素を詰め込んだ作品を作るなと思いました。まさにはいペリよんさんの作品ですね。ですがこの作品が本当に面白いのかそうでないのかは、全ての真実が明らかにならないとハッキリしません。まずは後編を読むことですね。私の仮説が1mmでも合っているのか全くの的外れなのか、早く答えが知りたいですね。まだ後編は発売しておりませんので気長に待つことにしましょう。ありがとうございました。


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