M.M レウキア滞在記 -後編その1リザ-


 この「レウキア滞在記 -後編その1リザ-」は前作である「レウキア滞在記 -前編-」の続編となっております。その為レビューには「レウキア滞在記 -前編-」を含めたネタバレが含まれていますので、ネタバレを避けたい方は避難して下さい。

・「レウキア滞在記 -前編-」のレビューはこちら

※このレビューにはネタバレしかありません。前作と本作の両方をプレイした方のみサポートしております。


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以下はネタバレです。見たくない方は避難して下さい。





















































































<誰もが主張することは主張するべき、それが出来ないのはただの腑抜けだ>

 本当、最後の最後まで不安にさせてくれる主人公でした。流石に自由人過ぎるでしょう。自分を監禁して痛めつけた相手に会ってその理由を聴きたいって、誰もが頭沸いてるんじゃないかって思いますよ。でも結果あの会合があってスッラとイスハークは一歩距離を縮める事が出来ました。これもまた、クルの持つ昂ぶる事なく核心に切り込む勇気の成せる技なのかも知れません。

 クルもリザも、離れてみてお互いの大切さを理解する事が出来ました。寝ても起きても気にするのは愛しい相手の事ばかり。ですが直前に後味の悪い別れ方をしましたので、この気持ちがお互いのものなのか大変不安に思ってました。ですがそれは杞憂でした。再開して直ぐにあのHシーンですよ。ああ、この二人はちょくちょく失敗はするかも知れませんけど最終的に離れることなくお互い支えながらやっていくんだろうなって思いました。それにしてもHシーンは私的にかなりエロかったですね。何がエロいって、肉感的な色塗りやアンダーヘアーの絡み合いは勿論ですがそれ以上にセリフ回りがエロいんです。日常の会話の延長のようなHシーンで凄く感情移入出来ました。抜きゲー特有の変な台詞回しとか一切ありません。「おチンポミルク欲しいの〜!」とか言いません。あくまで二人の愛を確かめ合うH。やっぱりこういうのがR-18のシナリオゲーには必要なのだと思いました。

 そして前編でも思ってましたが、他のキャラクターに大変愛着が湧きました。特にマキが二人の情事に対して説得するシーンは特に印象に残りました。リザとマキが部屋で話している時のあの恥ずかしさを必死に隠そうとしている様子、そして二人に対して気遣いながらも自分がクルの隣に居る事ができなくて悔しい内心、そんな姿が滲み出ていて可愛いと思いました。そんなマキの内心がセルフ回りから察する事が出来るんです。これこそがテキストの魅力ですね。上でも触れましたが、テキストがすんなり頭の中に入るんですよね。日常的な会話の雰囲気、登場人物ごとのキャラクターを前面に出したセリフ回り、ともすれば単調に終わってしまいそうなシナリオかも知れませんがそれでもクリックする手が止まらなかったのは間違いなくテキストの魅力によるものだと思っております。

 そして今作で言いたかったことは表題にもあります「誰もが主張することは主張するべき、それが出来ないのはただの腑抜けだ」だと思いました。作中ではクルがイスハークに対して真実を問う場面が印象的でしたが、主張することを主張しないという事は日常的に普通にある事だと思います。いわゆる「事勿れ主義」という奴ですね。自分の主張を話してめんどくさい事になる位だった我慢して相手に合わせたほうが穏便にいく、そのようにして実際世の中は回っているのだと思います。ですが、自分がどうしても譲れないもや納得できないものについてはやはり主張するべきだと思います。納得できないものはいつまでも心の中に残り続け、それはストレスとして長い時間をかけて心を蝕んでいきます。そしてそれは始めは小さなものだったのが気が付けば大変大きくなっており、本人も気付かないうちに修復できないものになっていたりします。

 人間関係なんてその最たるものですね。相手と二人だけの関係であれば言いたい事を言えるかも知れませんけど、世の中そう単純ではありません。組織というものはそこに所属している全ての人が関係しております。二人だけの関係だと思っているのは当人だけで、実際は全員に何らかの影響を与えております。それが分かるから、自分の主張なんて滅多にしないのです。争い事が一番避けるべき事なのです。そうして出来た小さな隙間が時間を掛けて大きくなりどこかのタイミングで突然爆発する、難しいですね。だからこそ絶対に譲れないものについては主張しなければいけないのです。例え理解されなくても、言葉にすることに意味はあるのです。それは自分の気持ちを相手に話すことが出来るからです。それだけでも全然環境は変化します。そしてその変化は大概良い方向へと向かいます。

 今作のようにスッラとイスハークの距離が縮まったのは稀有な例だとは思いますが、この二人に限らずクルとリザの関係、リザとマキの関係、クルとオンの関係もちゃんと始めと終わりで変化しております。それは主張したい事、正確に言えば主張しなければいけないと思った事を主張した結果です。やっぱり大事な時に声を出さないことは臆病ですし後々後悔すると思います。自分の内心を他人に悟られるのは怖いですけど、そうしなければ前に進めないのであればやるしかないですね。後はどれだけ素直になることが出来るかですね。恥やプライドを捨てて真心を持って人と話が出来れば、大概のことは上手くいくと思います。まあ、それが出来ないのが人間であり人間らしさですけどね。私も人と話すのは苦手な性格ですが、場を弁えて言いたい事は声に出そうと改めて思いました。ありがとうございました。


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