M.M ひまわり アクアアフター


 この「ひまわり アクアアフター」は前作である「ひまわり」のファンディスクとなっております。そのため、本編である「ひまわり」のネタバレが含まれていますので、ネタバレを避けたい方は避難して下さい。


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<アクアシナリオの補完以上の意味を持つファンディスク>

 この「ひまわり アクアアフター」は、上でも言いました通り同人サークル「ぶらんくのーと」から発表された「ひまわり」のファンディスクです。本編である「ひまわり」は、同人作品であり「ロリっ娘宇宙人同棲ADV」という副題からフェチズム的なゲームと誤解されがちですが、その本質は非常に内容の深いSF自立てのシナリオと魅力あるキャラクター達の「夢に向かって突き進む」をテーマにした作品です。今回そのひまわりのヒロインの中でも一番の人気を誇る「アクア」の後日談を語った「アクアアフター」という事で是が非でもプレイしようと思ってました。内容的には、ファンディスクという事で短めでしたがアクアアフターの名に相応しい実に「ひまわり」らしい内容でした。

 本作である「ひまわり」は、宇宙開発に端を発するSFファンタジーでありその壮大な計画と人の思いが交差するシナリオでした。特に宇宙開発を目指すにあたり手を出してしまった「ルナウィルス」の扱いは非常に難しく、事実このウィスルと人々の心の錯綜によって多くの方が不幸になってしまう内容でした。それでも、最終的に犠牲は出ましたが自分の夢に向かって突き進むEDには心を打たれ感動した記憶があります。

 そして誰しもが鳥肌した「ひまわり -second episode- AQUA」はシナリオの伏線回収という意味だけではなくアクアというキャラクターを絶対的にしたシナリオと考えて良いと思います。初回プレイは事実関係の把握やルナウィスルの感染者の把握や影響など頭の中でキープしなければいけない情報が多く素直に登場人物の心情に想いを馳せる事は難しいかも知れませんが、そんな中でもこのひまわり -second episode- AQUAのEDには誰もか心を奪われたことでしょう。ひまわり最大の被害者と言えるかも知れません。そんなアクアと共に空を追うEDとなった本編のアクアシナリオはひまわり -second episode- AQUAの無念を晴らすには十分であり、アクアの幸せな後生を想像させるのに十分でした。

 今作である「ひまわり アクアアフター」はそんなアクアシナリオの後日談です。一緒に世界中の空を追おうと約束した二人の物語です。基本的なテキストは本編と同じであり、「ひまわり」をプレイして気に入った方なら問題なく読み進めることが出来ると思います。また、ネタバレになりますので詳しい内容は話せませんがこのアクアアフターは唯二人のいちゃラブで終わるような内容ではありません。そのあたりは流石のぶらんくのーとだと思いますが、やはりアクアというキャラクターの良さを全面に出したシナリオでした。元々不幸な生い立ちの彼女です。このまま純粋に幸せな後生を送るシナリオもありかも知れませんが、アクアという一言で言い表すことの出来ないパーソナリティを表現するうえで相応しいシナリオとなっております。また、本編のひまわりでも幾つかわからない伏線があったと思いますがそのあたりについても触れています。そういう意味で、特別アクアが好きなわけではないという方でもプレイする価値は十二分にあると思います。

 現在ひまわりはPCゲームのみならず漫画、ドラマCD、PSPと幅広いメディア展開をしており多くの方に知られるようになったと思います。またぶらんくのーとの方でも「こもれび」「かげろう」とひまわり関連のエピソードを出しており、ますますひまわりの世界観に肉付けをしてくれます。そんな肉付けの1つとしての「ひまわり アクアアフター」、是非プレイしてみてはいかがでしょうか。


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以下はネタバレです。見たくない方は避難して下さい。








































<母親と人類の狭間>

 非常に重い内容でした。前半はアクアと陽一のお互いの関係を見直し離れ離れになってもお互いが叶えたい夢に向かってつき進むというひまわりらしい内容でした。ですが、後半は一転してメインヒロインは秋桜となりルナウィルスの未来と人類の未来を懸けた物語でした。

 ルナウィルスに関しては本編でも語られてますしその後ぶらんくのーとから出された小説である「こもれび」と「かげろう」でも触れていますのでその特性については理解していました。ですが、問題は誰がキャリアでどのように感染したかという明確な区分が出来ておらず、本当にルナウィルスのキャリアは陽一とアクアのみなのかが不安でした(アクアシナリオの場合です。明香シナリオでは陽一と明香とひまわりです。)。まあ、本編ひまわりのエンディングで明らかに秋桜がキャリアであることは明確でしたが、あそこまでしっかりとルナウィルスの記憶を引き継いでいたという点は疑問ではありました。そんなルナウィルスの感性経路と秋桜についてしっかりと語ってくれたのは良かったです。

 しかし、そう考えますと陽一がルナウィルスのキャリアである以上アクアと子供を作る事は出来ない運命だったのでしょうか。垂直感染でなけてば後天的な感染ですのでまだ人としての自我を保つことは出来るかも知れませんが、先天的にルナウィルスによって細胞が書き込まれているならばもはや人としてという概念がなくなってしまいます。実際、秋桜も幼いころは自分について疑問を持ってませんでしたが、成長して物事が理解できるようになったとき、自分が先天的に持っているルナウィルスとしての本能に従うようになってしまいました。それが、強引にでも陽一との子供を作る行為につながったわけです。

 ですが陽一やアクアは後天的な感染者です。ハッキリ言えば、人であるわけです。人類の未来のために、自分が子供を産む訳にはいかなかったのです。その事実に気がついたとき、本当運命をいうものを呪いたくなりましたね。自分のお腹のにいる子供を殺す、そんな事が出来るはずがありません。これまでも色々と不幸な人生を歩んできたアクアですが、ようやく誰にも邪魔をされない幸せを手に入れる事が出来たと思ったらこうですよ。残酷ですね。

 ですがそこはアクアでした。やっぱりアクアは強いです。母親と人類の狭間の立場に立っておきながら、自分の思いに流されず人類の未来を選ぶ決断をしました。本当はこんな事やりたくないに決まってます。やるにしてもアクアの手でするのはなんと酷な事でしょうか。ですが、逆にこれはアクアにしかできない事です。何故なら、まだお腹の中にいるのですから。自分の子供なのですから。

 結局ルナウィルスの目的は何なのか、それを語るにはもはや陽一と秋桜しかいません。ですが、もう一つの可能性である旭が亡くなった以上、そんな議論も無意味になってしまいました。宇宙開発の陰で繰り広げられたルナウィルスとの戦い、それもたくさんの犠牲を出しながらもこうして終幕する事が出来た訳です。子供を失った消失は重いでしょうが、アクアは何だかんだ言って強いです。きっとアクアと陽一なら、本当の幸せを見つけることが出来ると信じております。



 最後に一言。
「ARIES ATTACK」ムズ過ぎて英雄倒せないんだけど…。


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