M.M ef - the first tale.


<まるで、ドラマを見ているかのようなクオリティ。>

 この「ef - the first tale.」は、minoriから発表された「ef - a fairy tale of the two.」の前編として発売された物です。シナリオライターが私の尊敬する「御影」であったという事もあって、新しい作品ですが是非ともやってみたいということで早速プレイしました。前に発売された「ef - First Fan Disc」をやってとにかく驚かされたのがクオリティの高さなのですが、この本編に位置づけられる「ef - the first tale.」は、そのクオリティの高さに加えてまるでドラマの様にまとめられた雰囲気とシナリオでした。

 ef - the first tale.は、ずばり言うとオムニバス形式です。ef - a fairy tale of the two.全体で何章あるか分かりませんが、このef - the first tale.では独立して2本のシナリオがありました。そして、その2本のシナリオの語り部的な位置付けのキャラクターが登場するプロローグ、幕間といった感じで構成されています。なので、内容的には一般のギャルゲーよりは短いかもしれませんし、実際私も約9時間で終わりました。それでも、演出の良さやシナリオの巧みさは目を見張る物がありました。

 まず演出ですが、非常に綺麗なグラフィックを何枚も何枚も使って演出しています。その数は他のギャルゲーの2倍どころの数ではありません。ほとんど同じ絵がないのではと思ってしまうくらいのこだわりです。そして、そんなグラフィックに加えて「声」という物を上手く活用しています。ほんの一部分ですが、キャラクターのセリフを文章で書かず声だけでプレイヤーに届ける演出がありました。これは、人によっては不親切な演出に思ったり文章のスキップが出来ないなどの弊害があると思うので安易に良いとは言いませんが、私的にはその演出は当りだと思いました。本来サウンドノベルという物は読み物ですので、無暗やたらとスキップするものではありません。なので、あえてminoriはこの部分を全面的に押し出したのではないかと思います。そして、この演出こそわたしは「ドラマを見ているみたい」と思ったのです。自分でEnterキーを押さずただ見ているだけの演出、そしてそのクオリティの圧倒的な高さ、まさしくドラマと形容するしかありませんでした。

 そしてシナリオですが、キャラクターの心情をストレートに語らず雰囲気だけで語る文章は、さすが御影という印象でした。シナリオ自体は決して真新しい物ではなく、むしろ多くのゲームをプレイしている方には少々退屈な内容になるかもしれません。それでも、プレイヤーを作品に引き込む御影独特の文章力は、一見普通の学園もののシナリオを色鮮やかに見せてくれます。そしてこの学園物のシナリオでのテーマは、これまた一般的に「成長」です。こんな普通の物語を久しぶりに読みたい方、オススメです。

 そして最大の演出は、2本のシナリオが終わった後の後編である「ef - the latter tale.」へ繋ぐ部分です。最大級の謎と伏線を残して前編を終わらせる演出は、プレイヤーにとっては生殺し以外の何物でもありません。あそこまで生殺しにされるともう絶対後編を買うしかなくなります。そんな色々な要素の詰まった「ef - the first tale.」、時間があったら是非やってみてください。


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以下はネタバレです。見たくない方は避難して下さい。








































<雨宮優子は何者なのか。>

 この「ef - the first tale.」のテーマは確かに「成長」です。しかし、その一言では語れないような裏の部分も多く存在すると私は思います。

 学生4人を巡る半年間のシナリオは、過去を断ち切って今を生きるという姿勢や、ただ何となく生きてきた自分に見切りをつけて前へ踏み出すといった具合に、確かに人間の人生観を強く打ち出した物でした。そしてそれは、周りにいる人間と、何より雨宮優子によるものが大きいと思います。これ自体で立派に一つのギャルゲーとしての価値がありますが、ここで私は、各シナリオのレビューというよりもこの雨宮優子の役割について考えて行こうと思います。

 雨宮優子は何者なのか?ということがまず大きな疑問になると思います。ひょうきんなキャラを演出したかと思いきや、登場人物達に遠回しながらアドバイスを送ったりします。まるでシナリオ全体、もっと言うと音羽市全体を見守っている印象があります。そして、そんな印象を持たせる部分が幾つかありました。

 まず第一に、雨宮優子が神出鬼没であるという事です。ここぞというタイミングでどこにでも登場する姿は、まさに一介の人間ではないような印象を与えてくれます。第二に、雨宮優子だけでなく登場人物の記憶が曖昧だという事です。登場人物全員が、何か雨宮優子を知っているような印象を持たせるセリフが幾つもありました。そして、誰もがその事を忘れている。これは大きな伏線だと思います。第三に、雨宮優子の年齢不詳と音羽市に起こった震災という事実です。火村夕との対話の雰囲気から察するに、雨宮優子が歩んできた道のりは想像以上のものと思われます。そして、そう遠くない過去に起こった震災。これは何らかの関係があると思ってしまいます。

 まあ、こういった謎はおそらく後編の「ef - the latter tale.」で明らかになると思います。私なりの答えは出ていますが、とりあえず答え合わせまで伏せて起きます。きっと、プレイヤーにこう思わせるのがminoriの戦略なのでしょうね。まんまとはまった私、全ては「ef - the latter tale.」へ続く…、って感じですね。次に期待するとしますか。


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