M.M 朱〜aka〜


<完成された雰囲気作り>

 ねこねこソフトの作品ということで、間違いなく良い作品として仕上がっているであろうと思い、期待してプレイしました。結果から言いますと、予想通り自分の中で満足のいくものに仕上がっていました。

 まず評価出来る点としては、演出の素晴らしさです。この「朱〜aka〜」というゲームはいわゆるオムニバス形式なので、はじめのタイトル画面では第一章しか選択出来ませんが、シナリオを進めていくうちに広がっていくコンテンツの数々、オムニバスという要素を上手く使ってとても良い雰囲気を作っていると思います。あと、ゲームの随所に小さなムービーを入れている点です。タイトル画面に始まり、太陽からの日差しのシーンなど、ムービーを効果的に取り入れることで、とても良い雰囲気を作っています。

 次に評価出来る点として、音楽の良さです。BGMはシナリオ性にそぐわずに、良い雰囲気を演出しています。なにより、それ単体で聞いても心地よい気分になれます。私の中で、「ゲームがあってのBGMという」という考え方が強いのですが、このゲームの音楽は本当に素敵な曲が多いです。あと、このゲームの特徴としてボーカル曲があります。数多くのボーカル曲が流れるこのゲームですが、これを「BGMの様に」普通にゲーム中で使用している点です。この、良い雰囲気を作るためには頻繁にボーカル曲を使うことも厭わない姿勢が、本当に素晴らしいと思います。そして、そのボーカル曲ですがとても豪華なキャスティングです。ここまでされるともう本当に圧巻です。

 そしてシナリオですが、オムニバスを利用して、それぞれ立場の違う何人かの主人公とヒロインの物語を作っています。それぞれのシナリオの長さはやや短めで、約2〜3時間で終わりました(シナリオ毎に個人差があります)。それぞれ良くまとまっていて、手軽に楽しめました。ただ、作品の雰囲気に呑まれてしまった為か、私は一気にこのゲームを進めてしまいました。それだけ、このゲームのシナリオには何か引き寄せる力があると思います。結果から言うと、なかなか考えさせられるシナリオでした。

 最後にちょっと気になった点ですが、ねこねこソフトの作品を幾つかプレイした方なら分かるかと思いますが、必ずといって良いほど過去に制作した作品のネタが登場します。朱〜aka〜も例外では無いので、この「朱〜aka〜」というゲームを楽しむのであれば特に問題は無いのですが、全ての要素を楽しみたいという方は、過去の作品をプレイしてから朱〜aka〜をプレイすることをオススメします。


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以下はネタバレです。見たくない方は避難して下さい。








































<銀色≒朱>

 まずハッキリ言ってしまえば、シナリオが「銀色」の使い回しです。確かに朱〜aka〜のシナリオは良かったですし、世界観や各章のシナリオはオリジナルのものだったのですが、あくまで根底にあるテーマは銀色と同じ物だと思います。まあ、私としては「銀色 完全版」においてあの後「石切」がどうなったのかが弱冠気になっていたので、そういう意味では答えを提示してくれたことは良かったと思います。

 しかしそうは言いましたが、今回「朱〜aka〜」においての銀糸による最大の被害者であるラッテについてですが、彼女の心の葛藤や決心についてはなかなか考えさせられました。自分がやってきたことが全て無駄になってしまうことが許せなかったが為に生み出したもう一人のラッテと朱石、その考え方は十分理解の出来るものでした。記憶を失うことは優しさであるという考え方ですが、それも時と場合ではありえる思想であるなあと思いました。

 ちなみに、朱〜aka〜の後に発売された「ねこねこファンディスク2」で、このラッテの心の葛藤がよりリアルに描かれていますので、是非プレイすることをオススメします(ちょっと悲しいシナリオですが)。


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