M.M 1001回目の蒼い月-THE INTRODUCTION-


<リンネと一緒にこの作品の世界観や舞台やキャラクターなどについて一通り見て回りましょう>

 この「1001回目の蒼い月-THE INTRODUCTION-」という作品は同人サークルである「チェーン荘」で制作されたビジュアルノベルです。チェーン荘さんの作品は過去に「静寂に電気鋸」や「オフライン少女」をプレイした事があり、同人とは思えないシステム周りの丁寧さとキャラクターの可愛さが大変印象に残っておりました。今回レビューしている「1001回目の蒼い月-THE INTRODUCTION-」そんなチェーン荘さんの3作品目である「1001回目の蒼い月」の先行版となっておりまして、世界観と舞台とキャラクターの紹介に特化した内容となっておりました。

 公式HPで紹介しておりますが、舞台はかつて神々と人間が共存していた歴史を持つ世界です。神々の与える能力の恩恵を人間が頂く事で反映してきた世界でしたが、その代償である魔の力で世界を滅ぼさんとする龍が生まれてしまいます。神々と天使の犠牲の果て、龍は倒されますがその代償として人間界と神界は分断されました。そして物語はそんな歴史がおとぎ話となった時代のとある一国から始まります。戦争が終わり平和な営みが行われているフォルモーント王国、そこで生きる人達の姿と雰囲気をこの作品で味わう事ができます

 この作品は先行版ということで、主人公は神の視点を持っているプレイヤーです。そして主要キャラクターであるリンネという魔女と共にフォルモーント王国を歩き回ります。神の視点と書きましたがプレイヤーは実際はリンネが魔力で生み出した存在です。そんなリンネの玩具であるプレイヤーに対して街を案内してあげるというスタンスです。リンネはさながらガイド役ですね。フォルモーント王国の歴史や町並み、そして相対する人達の事を彼女の視点で話してくれます。西洋を舞台としているという事で背景は実際の写真を加工したような素材でした。そして登場人物たちも全員顔を出します。ヒロインであるファルナ姫とその幼馴染である本作の主人公を始め、王国最強の騎士や鍵を握る女騎士など一通りのキャラクターを見る事が出来ます。最後にこの世界の歴史の断片を話し、OPムービーへと繋がる流れになっております。平和な国、平和に見える国、言葉で説明できた気がしている平和な国、非常に意味深でありその後の破滅を予感させるような幕引きはその先が大いに気になりました。これぞ先行版のあるべき姿だと思いました。

 そして本作で一番気に入った言葉は「自分自身が信じるに足らぬ奴が神を信じ頼っている姿を見ると不愉快な気分になる」ですね。リンネは預言者として仕事をしているのですが、たまに自分の予言がクライアントの意図した答えではなかったという事でクレームを受けるそうです。そんな人間はきっと始めから自分のことを慰めて欲しいと思っているだけで本気で問題解決しようとはしていないのだと思います。そんな浅ましさが露骨ににじみ出ている人が祈っている姿を見れば、確かに不愉快になると思いました。祈りは本質的に何も解決しません。ただ自分自身の気持ちに整理をつける為に行うのだと思っております。それでも神々と人間が共存していた歴史がおとぎ話になったとは言えかつて祈りが本当に人間を救っていた世界です。そんな世界観の断片を感じる事が出来る言葉だと思いました。

 という訳で簡単ではありますが本作のレビューとなります。プレイ時間は私で20分程度で、本当にあっという間に終わってしまいました。それでも世界観や舞台やキャラクターなどについて一通り見る事ができ、一気に作品に対する期待が高まりました。この世界の歴史の真実は何なのか、リンネは何故神の声を聞けるのか、この国の平和はどうなるのか、色々な事を想像しながら本編を待とうと思います。ありがとうございました。


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現在ネタバレのレビューはありません。見たい方も見たくない方も避難して下さい。

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